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PDCAが「回らない」会社と「回り続ける」会社の違い

文:戸田 拓海(株式会社Mathenaut 代表取締役)

「うちはPDCAが回らない」。よく聞く言葉ですが、原因を意識の低さに求めているうちは、まず改善しません。回り続けている会社を見ていると、意識ではなく段取りで解決していることが分かります。

回らない原因は、意識ではない

PDCAが回らない会社で、社員が改善をしたくないと思っていることは、ほとんどありません。むしろ「なんとかしたい」と思っている人のほうが多い。

それでも回らないのは、改善が「時間があるときにやること」に分類されているからです。そして中小企業に、時間があるときは来ません。回り続けている会社は、ここを精神論で解こうとしていません。仕組みのほうを変えています。

違い1:振り返りがカレンダーに入っているか

一番大きな違いがこれです。回っている会社では、振り返りの時間があらかじめ予定として確保されています。毎月第1営業日の朝30分、といった具合です。

「余裕ができたら振り返ろう」にしている会社は、まず振り返りません。予定に入っていないものは、実行されないからです。

短くていい

1時間も要りません。30分で十分です。長い会議を月1回設定すると、忙しい月に真っ先に飛びます。短いほうが続きます。

違い2:見る数字が決まっているか

振り返りの場だけ作っても、話すことが毎回変わると議論が発散します。回っている会社は、毎回同じ数字を見ています。数は多くなくて構いません。3つ程度で十分です。

  • 受注件数、問い合わせ件数といった、事業の入口の数字
  • 対応にかかった日数など、業務のスピードを表す数字
  • ミスや手戻りの件数など、品質を表す数字

大事なのは、毎回同じものを、同じ形で見ることです。数字そのものより、前月と比べて増えたか減ったかのほうが役に立ちます。

違い3:「やめる」判断をしているか

意外と見落とされがちですが、これが決定的です。

PDCAのAは改善(Act)ですが、実務ではここに「やめる」が含まれます。始めた施策を検証して、効果がなければ畳む。この判断をしていない会社では、施策だけが積み上がっていきます。

やることが増え続ければ、当然どこかで回らなくなります。回り続けている会社は、新しく始める前に何かをやめています。

月30分から始める

いきなり全部を整えようとせず、この形から始めるのをおすすめしています。

  1. 毎月同じ日・同じ時間に、30分の枠を取る
  2. 見る数字を3つだけ決める
  3. その場で「続ける/変える/やめる」を1つずつ決める
  4. 決めたことを1行で記録して、次回の冒頭で読み返す

4の記録が地味に効きます。前回何を決めたか誰も覚えていない、という状態がPDCAを止める大きな原因だからです。

まとめ

PDCAが回り続けるかどうかは、社員の意識ではなく段取りで決まります。時間を先に確保する。見る数字を固定する。やめる判断をする。

この3つが揃うと、改善は「特別なプロジェクト」ではなく、月々の当たり前の業務になります。そうなれば、経営者は次の打ち手に時間を使えます。

戸田拓海

戸田 拓海(とだ たくみ)

株式会社Mathenaut 代表取締役

品質管理の実務出身。中小企業(1〜50名規模)の業務改善とAI活用を、現場に入って伴走支援しています。プロフィールを見る →

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